怒りのメール

「間違っても仕方がない、人間だから」と自分のミスに対して言うと怒られる。

と言うわけで本日のテーマは「怒られる」

外人と一緒に仕事をしていても、怒られることはイメージより多くない。日本人に比べれば、怒る人の割合はひょっとすれば多いかもしれないが、怒られる機会はそんなにない。がっつり怒られるのなんて年に何度もない。

そして今回紹介するのは、まさにその「かなりがっつり怒られたもの」

年に1度クラスの怒りメールである。100点満点で怒りを表すとすれば、95点くらいだろう。

早速どのように怒られたのか紹介していきたいと思う。まずは相手を怒らせるに至った背景から。

主な登場人物は、1.私の先輩(戦犯)、2.お客さん(日本企業)、3.製造メーカー(アメリカ企業)である。

お客さんから注文を受け、先輩が海外メーカーに製造を依頼した際に起こった悲劇である。私にもccでメールが飛んできたので事情は知っているが、先輩が完全に悪く相手が怒るのも止むなしのケースだ。

  1. お客さんから製品(旧モデル)の注文を受け、製造メーカーにオーダーを出す。この際に型番を間違い誤発注していたが誰も気付かず、正式なオーダーが会社から発行される。
  2. 製造完了し出荷連絡を受けた際、出荷物の寸法と重量が普段と違うことより注文ミスに気づく。慌てて正しいものをオーダーしなおそうとするがその製品が廃盤だと知らされる(お客さんが本来欲しかった製品は旧モデル)
  3. この時点でお客さんと話し合い、誤発注したモデルを改造することで合意。製造メーカーには仕様変更のためのカスタマイズを依頼
  4. その1ヶ月後、お客さんから「やはり廃盤のモデルでなければダメ」と連絡が来る。恐る恐るそのことを海外に伝える。

上記の流れで来た怒りのメールだ。我々はお客さんにも購入先にもあまり立場が強くないので、このように板挟みになることがある。というかこれは、うちの先輩に多大な過失があるため、発端は彼である。

以下製造メーカーから来た怒りのメールを載せる。身バレ防止のために少々改変したが紹介したい。

Dear 先輩, your email is rather disappointing to say the least.

First of all, although the model was not the one your end user desired, you basically decided to make us modify it based on our discussion and good will in last month. An accessory was added later on but free of charge. We have bent over ourselves to fulfill this order with countless overtime plus overcome the supplier’s mistakes in order to deliver on schedule.

お前のメールには本当にがっかりだ。注文ミスが判明した後、先月の段階では、改造で対応することに合意したはずだ。後出しで言われた付属品だってタダでつけたんだ。納期に間に合わせるよう自分たちを曲げ、お前らのミスをカバーするために多くの残業までしたと言うのに。

冒頭の「disappointing」から非常に強いメッセージだ。プレビューが表示された時点で嫌な予感しかしない、強いトラウマを心に植え付けかねないメールだ。

「dissapointing」という言葉に社内がざわつく。炎が燃え上がった瞬間を垣間みたのは私だけではない。ccで10人近くに出回ったので、打ち上げ花火のような炎上だ。

自分に非がないか、心中穏やかではなかった人もいるだろう。自分が当事者ではないことが分かれば、野次馬のごとく詮索し出すのは普通の人間の行動だ。これは仕方がない、ここまで怒っていれば、はたから見れば少々面白いのは事実だ。

「countless overtime=どんたけ残業したと思ってんだ」という文句もなかなか見ない。感情をあらわにしたメールと言えるだろう。

このメールが来た後、担当者の先輩はお客さんにも謝りに行き、製造メーカーにも謝りに行き、しばらくは謝罪旅行をするはめとなった。話の収集がつかなくなり、部長以上に偉い人と謝りに行っていた姿が懐かしい。

そして、その甲斐もなくその製品は受け取り拒否されている。

さらに言えば、この間違えて購入した製品はまだうちにある。でかくて邪魔だし、値段をいくら下げてもどこにも売れない強力な不良在庫だ。これをどうしよう会議があるたびに先輩の顔が暗くなるのを密かに面白く思っているのは私だけではない。

そして、その会議があるたびにこのメールを思い出す。

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