結論を先に言おう

日本語でメールを書くとき、「いつもお世話になっております。〜社のxxxです。」と言う文言は冒頭の枕詞として非常に良く使われる。

相手が誰なのかなんて宛先を見れば一目瞭然だし、毎回同じ相手にこの文言を書くのは無意味である。

私は商社に勤めていることもあり、どの相手に連絡をするにしろ、ほとんどは自分の方が立場が下だ。だから、失礼と取られないようリスクマネジメントとして必ずこの文言を入れる。相手がいきなり要件からメールを書くタイプの人であれ例外ではない。自分の立場を考えるとそう言うメールを書かざるを得ない人は多いはずだ。これはもう、作法のようなものなので文句を言っても仕方がない。これからも私はそうするだろう。

ただしこれが海外の場合は話が異なってくる。最初にコンタクトをする相手であれば軽く自己紹介をするのは世界共通なのだが、同じ相手に何度も自分の名前を名乗ることはない。

自己紹介の話題が出たので軽く私がよく使う文言を紹介したい。基本的に↓くらいの簡素なもので十分だと思っている。初コンタクトの際はこれをコピペして使用する。

Hello, I’m xxx, a sales engineer in the yyy section of zzz corporation.

相手が興味を持つ何らかのエピソードがあれば書いても良いが、通常はこのくらいで十分。日本語では毎回これを冒頭の挨拶としてわざわざ書いている。研修の時のマナー講師にもそう習ったが、彼らでさえリスクマネジメントの側面も認めている。

本来の感覚としては、普通は毎回名前を名乗には非効率だし、標準化されるのは大抵は合理的な方だから、(把握している限り)日本以外の国では実際にその通りになっている。

自分に直接関係のないメールは、一通あたり平均して5-10秒程度しか目を通さないのは私の体感である。だから、余計なことを書いてこの短時間で自分に関係がないメールだと判断されれば返信がこない。

よって、海外にメールを出す際は要件から言った方が良い。

これは「名乗る必要がない」とだけ言っているのではない。要件、それも結論から先に書いた方が良い。メールを読む必要があるか、「ふるい」にかけられる前に結論を相手に読ませ、その背景まで読んでもらう必要がある。

例えば下のようなメールを英語に直すときはどうするだろうか?

日本国内の主要客先である、ABC社より御社製品の不具合を指摘されています。異音が発生し、出力されるデータに異常値が頻発し、頻繁に動作停止する現象が確認されています。つきましては不具合の原因と考えられる要因およびその対策についてご教授願います。

翻訳すると↓のような感じになるだろうか?

ABC Company, one of the main customer in Japan has reported failures in your product. According to them, it makes abnormal noise, frequently outputs strange value, and shuts down so often.

Could you please check them and contact us?

Thank you,

私の自作であるが、真っ当な相手であればそのまま送っても十分こちらを助けるような返信はくると思う。

だが、このメールには改善の余地が非常にある。まず、冒頭に何を相手に求めるか書いておらず、時系列的な羅列になっていること。そして、相手にアクションを求める動詞である「check」が何を指しているか具体的にかけること。

ここで、相手のアクションとして求めていることは不具合の原因と考えられるものを提示すること。これをまず冒頭に書き、アクションを求めていることを述べた方が良い。冒頭を書き換えるとこうなるだろう。

Could you please review the following failures of your product and let us know suspected cause of failures?

冒頭が具体的に相手へのアクションを求める内容になった。

次に、不具合の内容だが、並列できるものは箇条書きにした方が見やすい。

Abnormal noise

Strange output value

High frequency shutdown

付帯する情報は最後で良い。また、客先は件名に入れると後で見やすい。

Since the customer, ABC company is one of the main customer in Japan, we need to deal with the failures as soon as possible.

このような感じになるであろうか?

海外からもメールがくるレベルのビジネスパーソンだと、かなりの数のメールを毎日読んでいる。だから、メール一通あたりに目を通す時間はそれほどない。

単刀直入に物事を言わないことは、多忙な相手にとってはまともに読まれない可能性が高まるだけの結果になりやすい。この美徳は日本人相手には通じるものがあるが、我々の方が世界標準から外れていることを認識する必要がある。

まずは要件を、簡素かつ具体的に書くことを意識しよう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

前の記事

誤解を招く英語メール